ついに名前はまだない

名前が決まらないまま8年が経とうと……あれ10年目入ってない?

気がつけば

 気がつけば1ヶ月.始まりは1ヶ月すら考えつかず,思いも至らず,ただただ1日1日を過ごしていた.気がつけば1ヶ月.果たしてこの1月でどれだけ成長しただろうか.少しは前に進めただろうか.気がつけば1ヶ月.次に気がつく時は2ヶ月かもしれない.3ヶ月かもしれない.

 環境が変わって1ヶ月.私はこの環境に慣れつつある.次に気づくとき,もう一歩,二歩,先に進んでいるだろうか.未来は私には見えない.



 続きは神姫の与太話.




 「最近bisさんの姿が見えませんが,どうしたのでしょうか」



 「マスターに聞いたら旅に出たとか言ってたじゃん」



 「またか…それが強さの秘訣か?」



 「でも,どうなんでしょうか…本当のところは」



 「うーん…」








 「マスター,話がある」



 なんだろうか.告白か何かかな.

 「実はしばらく距離を置きたいんだ」



 距離?何と何の?

 「私と…君だ」



 「マスター,君には感謝している」



 「半ば捨てられていた私を拾ってくれた上に,今日まで大切にしてくれた.いや,これからも…きっとそうなんだろうな」



 唐突だね.一体どうしたの.何か…怖いことでも?ああ,怖い夢でも見たのかな.

 「君はいつもそうやって….でも,そういうところが…好きなんだよ」



 「だけど…いや,だからこそ…私はしばらくマスターから離れたいと思うんだ」



 …そうか.なくなってみて初めて分かるものだからね…大切なモノっていうのは.でも,それは今じゃないとダメなのか?

 「…今じゃなきゃ,きっといつまでもこのままだと思う」



 意志は堅いか….なら,何も言うまい.好きにすればいい.

 「ありがとう,マスター.…でも」



 でも,ひとつだけ約束がほしい.

 「…何?」



 必ず帰ってくること.何かを見つけること.いいね?

 「ふふっ…マスター,それじゃ1つじゃなくて2つだよ」



 「…でも…うん,分かった.約束するよ」



 じゃ,いってらっしゃい.おみやげ,期待してるよ.

 「ああ…その…マスター.これが最後になることも無いと思うけど…ひとつだけ言わせてほしい」



 「みんなと仲良くして,あんまり夜更かししちゃ駄目だよ」



 ははは,それじゃあ,1つじゃなくて2つだよ.まぁ,気をつけるよ.

 「うん,じゃあ…行ってきます」



 (…さようなら,マスター……)




















 「そしてしばらくしてbisさんに逢えないマスターがbisさんを追いかけて感動の再会してそれからそれから…きゃーッ!」



 「シャラねえに聞いたアタシが馬鹿だったじゃん」



 「予想はしてたけどな…」



 「で,でも…ちょっとドキドキしました!先が気になります…」



 「でも,これじゃあ知ってる神姫(ひと)いないじゃん」



 「やはり,マリーとかに聞いたほうがいいんじゃないか?あいつはあれで情報通だからな…話したくないが



 「あれ,みんなこんなとこにいたのか.マスターが探してたよ?」



 「そういう時に限ってどうでもいいことだったりするじゃん」



 「はぁ…マリーのところに行くよりはマシか」



 「…そ,それよりも…」



 「「「なんでいるの!?!?」」」



 「…え?」